Peronica

「浅草、きっと」セルフライナーノーツ

私たちは普段はALFEEのカバーをメインにお届けしておりますが、僭越ながら今回はオリジナル曲もお聴き頂ければ、という想いです。

さて、Peronicaのメンバーも大好きな街、浅草が舞台のこの曲。浅草十二階 研究家の坂崎さんへのリスペクトと、令和版浅草ソングのスタンダードになるような歌を作りたい、という願いを込め、9月下旬に制作はスタートしました。

ちなみに当初のタイトルは「浅草、きっと」ではなく「隅田川」でした。

〜ストーリー〜

とある夏の日、浅草のホッピー通りで通り雨に降られたことがありました。
雨宿りも兼ねて入った店に缶ビールは無く、実際にはホッピーを頂いたものですが、
雨上がりの通りは水たまりが街並みを反射して綺麗で、そんなシーンからこの歌は幕を開けます。

コロナ禍を経て、夏の風物詩、隅田川の花火大会も再び下町を賑わすようになりました。
外国人観光客と「花火はどこで見られますか?」「あちらですよ」なんて会話を繰り広げながら、遠くから秋の気配を感じ始めます。

名曲「浅草キッド」でも歌われる仲見世通りを浴衣姿で歩くふたり。
引いたおみくじの結果に納得がいかず、もう一度おみくじを引いたりしながら、いつの間にか暮れていくのは浅草寺の黄昏時。
成田屋こと市川團十郎像が演じるのは十八番の「暫(しばらく)」。どうにか「帰らない理由」を見つけ出そうとするふたりを残して、浅草駅の終電が走り去ります。

やがて東京スカイツリーと幻の浅草十二階のシルエットがオーバーラップすると、ふたりに悲劇的な別れが訪れます。
「あの写真館」というのは、きっとマルベル堂なのだと思うのですが、ふたりの記憶はたった一枚のポラロイドに遺されます。

(この物語はほとんどが妄想ですが、少しだけ現実を含んでいます。)

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Peronica「浅草、きっと」
作詞・作曲・編曲 : 寺尾伴内

通り雨 二人並んで
缶麦酒を飲んで
水溜まり 微酔いの君の
手を繋いで歩く

宵が来て (下町に)
花火が上がれば
夏もそろそろ終わりね

夜に花が咲き 君を映し
黒髪が揺れて
このまま時間止まらないかな
(時の魔法かけて 今)

街は眠れない 夢を探す (眠れぬ夜 夢探し)
二人を残して
秋の香りがしている

仲見世を浴衣で抜けて
お賽銭投げて
お御籤を引き直して
ひとつだけ結んで

成田屋が (夕暮に)
黄昏れていく
君と暫く会えない

宙の銀幕に 月が灯り
横顔照らして
どうして君が泣きそうなのだろう
(真夜中のラプソデヰア)

その手離せない理由探す (眠れぬ夜 夢探し)
二人を残して
駅の灯りが消える

幻の十二階を望んで
空に駆け出した君は
あの写真館のポラロイドの中
サヨナラ 悲しみのルフラン

雪の花が咲く 朝陽の中
白い息の向こう
泣いても君が戻らないなら
(サヨナラは言わないさ)

星は永遠に 夢を探す (眠れぬ夜 夢探し)
二人を残して
冬の香りがしている

君の香りが、
君の香りがもうしない
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〜浅草、きっとの作り方〜

まず、ALFEEの「See You Again」をベースに曲を作り始めます。サビのコード進行を拝借しつつ、
「真夜中のラプソデヰア」「サヨナラは言わない」などの歌詞を、分かるか分からないかぐらいの分量で混ぜます。

イントロのストリングスとメロトロンの絡みは「From The Past To The Future」のオマージュ。
mayugenのリードボーカルに絡む寺尾伴内の多重コーラス、ベースラインやサビ前のキメは、オフコース「Yes-No」のイメージ。

アコースティックギターはMartin D-35。Dメロで絡んでくるGAROのマークっぽいオブリガートはHeadway D-28 Prewarモデルでプレイ。

他にも「夢探し」「時の魔法」などなど隠し味のワードを散りばめたら、完成。
聴けば聴くほど小ネタが出てきてクセになる味なので、是非繰り返しご賞味ください。

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